生命体工学分野

 当研究所では、医療や生化学といった生命体工学分野の研究にも取り組んでいます。なかでも、今里研究室では、『 誘電泳動現象を利用した白血病の超早期確定診断法 』の開発に取り組んでいます。

 誘電泳動現象とは、不均一電界下におかれた溶液中の微粒子が移動する現象です。その移動方向は微粒子および溶液の誘電特性(誘電率,導電率)によって決まり、電界がより強い方向へ移動することを「正の誘電泳動」、電界がより弱い方向へ移動することを「負の誘電泳動」と呼びます。

 異常細胞は、正常な白血球と成り立ちが異なるので、それらの誘電特性にも違いがあります。この違いを利用して、白血病細胞に正の誘電泳動、正常な白血球に負の誘電泳動を引き起こし、分離に成功しました。
この成果は、白血病の早期発見につながるものとして、西日本新聞の朝刊1面トップ(4月16日)および毎日新聞の朝刊(4月17日)で大きく取り上げられました。

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 今後、これまでに開発した技術を用いて、単なる正常・異常白血球の分離ではなく、正常なすべての血中細胞(赤血球、白血球、血小板)の混在する血液中から、白血病細胞のみを分離・抽出する研究に取り組んでいます.この技術が確立されれば、白血病の超早期発見が可能となり、早期治療によって救命率が上がり、患者の肉体的・経済的負担が軽くなると期待されています。

 また、当研究所の所長の山川は、『 ソフトコンピューティング技術による「てんかん」原性域の特定と低侵襲治療法の確立 』(外部リンク)の研究を行っています。

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マイクロ冷却プローブによるてんかんの低侵襲治療法

 
試作した三重同心軸マイクロ冷却プローブ   マイクロ冷却プローブによる
アイスボールの形成

 今後、当研究所において、このテーマを更に発展させた『脳組織の破壊を伴わない「てんかんの抑制」の実現』に向けた研究に取り組んでいく予定です。